第3回2008WebSig新年会に参加してきました
第3回2008WebSig新年会に参加してきました。
今回はモデレータの和田さんから「オープンマイクでなんか話して」と言われて、困惑しつつも軽くプレゼンさせていただきました。以下、WebSigサイトから「オープンマイク」の説明を引用。
一人10分程度で、自由に新サービスやボランティアプロジェクトなどのメンバー募集などをプレゼンテーションできるオープンマイクを実施したいと思います。
とはいえ、求人するわけでも、自社サービスやイベントを紹介したいわけでもなく、実は結構ネタに困ったんですが、最近必要性を強く感じている、制作スタッフに対して「『お金儲け』の重要性」をレクチャーすることについて話しました。以下、非常にザックリとしたアジェンダ。
- 2つの視点から『お金儲け』を意識する必要がある
- クライアントの企業活動
- クライアントがお金儲けをするための『道具』としてのWebサイトを作る
- 受託で仕事をする制作会社の企業活動
- 利益を上げるためには「収入を増やす」「コストを減らす」のどちらか
- Web制作会社の主なコストは、制作にかかる「時間」
- クライアントの企業活動
- QCDを最適化しようとすると「プロジェクトマネジメントされる側」への教育が必要
- 同じようなことで悩んでる人がWebSig参加者にも結構いそうなんで、みんなで考えていければ良いなぁ
事前に「必要なければプロジェクター使わないで」連絡があった事もあり、当日昼過ぎまで内容固めてなかったのですが、他のプレゼンターの方がしっかり準備されてたので、自分の番までしどろもどろでした(正直、知人のPC借りて資料でっち上げようかと何度も迷った)。
会の後半で発表したことや、その後すぐにプレゼントコーナーだったこともあり、話が広がることもあまり無かったのですが、久々にアウェーな感じで人前でお話し出来てよかったです。
WebSigで可能か、それが良いのかは分からないけれど、守秘義務に反しない範囲で制作技術以外の部分の教育方法について、勉強会等が出来たら良いなと思ってます。あまり雑誌等では特集されず、必要な要素が色んな資料に分散されているような、「ビジネスモデルのデザインへの落とし込み」とか、「制作会社の企業活動の仕組み」とかを、『研修用資料』としてアウトプットするような集まりが持てたらちょっと嬉しい。というよりも、今まさにそんな資料が欲しいのですが、如何でしょう?
・・・いつの間にか、「教育」とか考えないといけない年になったんだなぁ。
セミナーレポート:第17回WebSig会議「広告とWebサイトデザイン-アイデアを実現するクリエイティブ-」
第17回WebSig会議「広告とWebサイトデザイン-アイデアを実現するクリエイティブ-」に参加してきました。
「テーマはクリエイティブ」との事だったんですが、 期待していた「企画意図のビジュアルへの落とし込み」の部分は一切無く、 むしろ「プランニング」がメインだった感。広告代理店の方が講師ということもあり、Webだけで無い広告戦略と具体的な企画立案のフローに終始していました。
以下、気になったことを箇条書きで。
- 和田さんの開会挨拶が良かった
- 企業の言いたいことをメディアが受け止めてユーザーに届ける
- 『感想・ブログへのポストは「ゆるやかな感じ」でお願いします。』
- 難しいこと言うなぁ
- 「メディアを横断」→「商品を作る」へ
- 技術的に出来る/出来ないの前に『これやりたい!』をみんなの真ん中に
- 『これやりたい!』を共有できる人と仕事をしたい
- 広告業界とWeb業界
- 広告:コミュニケーション
- Web :技術
- クライアントに提案を通す工夫として、プランニング時点ではカンプを完成形にしないでイメージを伝える
- Webはきっちり数字が出るけど、広告は割とザルな評価法。数字と感触の両方を見ている
- 同じ1クッリクにも感触があるのに、Webの業界は数字に縛られて感触を見ていないのでは?
- クライアントに対しては...
- Webは信頼できる、ぶっちゃけた話が出来る人、本当のことが話せる人と作るべき
- クリエーターに対しては...
- 信頼される、商品企画から相談される人になるべき(時間がかかるし、育てる必要がある)
正直なところ、「Webサイトデザイン」のお話はほとんど無かったし、媒体を売るのが目的(=Web制作で利益が出なくてもOK)な形態でのお話なので、作る部分は参考になる話はあまり無く。
それよりも今回の見所(聞き所?)は、「どこまで/どうやってクライアントのビジネス成功に入り込むか?」だったかと思います。職場でいつも言ってるんだけど、「僕らが作っているのは、『お客様がお金儲けに使う道具』であって、『お客様好みホームページ』ではない」っていうことを、Web屋だけでなくクライアントも忘れちゃう場合があるので、その辺りから整理して、クライアントとユーザーのコミュニケーションを手助けするのが、僕らディレクターといわれる人間の仕事なのかなと改めて考えました。
セミナーレポート:「dux07」報告会
「dux07」報告会に参加してきました。
「dux07」の報告の前に、「UX Week 2007」の報告もあり、その途中から参加できました。以下、紹介のあったセッションやイベントの所感について、気になったところをピックアップ。
UX Week 2007
『Generative Tool』という、ユーザがデザインに参加する度合いを増やすために、写真や矢印などの素材を基にユーザに何かを作ってもらって 意図をより深く読み取ろうとする手法の紹介では、「自由度が高すぎるときっかけが掴めない」「モデレータの準備次第」「結果の解釈の仕方次第」「如何に真意を読み取るか?」ということで、属人的になるという話が上がっていたのが印象的。
『UXデザイナーを雇うときのポイント』の話があったとの事で、「欧米ではUXデザイナーという職種がある程度確立されている(IA+ディレクター+リサーチャー的なポジション)」というのが文化の違いというか何というか。後半でもちょっと話に上がったんですが、費用対効果出しにくい分野だと思うんで、その辺での成果物の見せ方等に興味津々。
dux07(当日配布された資料が公開されてます)
色々な発表のお話しがあったけど、大学の研究発表的なものが多く、心惹かれるものがあまり無い印象。
YahooのZyncというメッセンジャーのウィンドウの中で動画が再生でき、チャット相手と共有できるプラグインは、「YouTube観ながらチャットは出来るし、動画の使い方ではニコニコ動画のほうが上だけど、IMと動画再生ツールがパッケージングされたこと自体に意味がある」というお話にはとても納得。まとめてもらえるだけで使用頻度が上がる感覚は非常に良くわかる。
「冷蔵庫のデザインにUCDを適用」という発表については、「適切なサイズや機能を検討した」とのことで、「既に日本では一般的な発想だよね」とも思って詳細を聞いてみたんだけど、「アメリカだとデカイ冷蔵庫が標準的な上に、そもそも家についてくるから『買い換える』って発想が無い」ってお話を伺えて納得。そこから派生して「うちの冷蔵庫のプチ自慢大会」みたいになり、楽しそうにお話されてるのを見ていて、「実はこうやって喜んでもらえるモノづくりがUCDとかの目指すところなのかなぁ」と思ったり、家庭がある人たちに軽く嫉妬してみたり。
VR関連のセッションもあり、「Second Lifeはカンファレンスに使うと集まってる感、参加者の存在感が出せるし、コミットメントを高められる」という話があったとの事(「でも商売には向いてない」ってリンデンラボの人が言ってたらしい、、、)Second Lifeのセミナー行ったときに「Second Lifeやってますよな人たち」がSLで参加してたんですが、そのときの感覚だと「メタバーズを楽しむ」事が主になっていた気がして、コミュニケーションツールの一つとして、例えばTV会議の代替として検討するとかにはもうちょっと時間がかかるのかな?
「IA、エスノグラフィといった単語は普通に聞かれる状況」との事。・・・エスノグラフィって何ですか?
最後のディスカッションでは、「UXの定義」「UXとユーザビリティーとの守備範囲の違いや包含関係」といった『UXとしてやること』の話と「日本でもduxみたいな各ジャンルを横断する会を開きたいよね」「そうなると、この報告会みたいな場に広告業界の人にも来て欲しい」という啓蒙活動的な話がメインだったかと。個人的には「IA」「HCD」「UX」などの名称がついてる領域は非常に興味があり、今後業務として関わっていきたい所なんですが、正直、言葉の定義とか業務範囲についていけない感が出てきているのも事実。ひとまずは、日々の業務にこういった要素をちょっとずつ取り込んでいくのを引き続きかなと。
セミナーレポート:第15回WebSig会議「WEBサイト構築のためのプロジェクトマネジメントスキル」
第15回WebSig会議「WEBサイト構築のためのプロジェクトマネジメントスキル」に参加しました。
前半はNRIネットワークコミュニケーションズ松岡さん、後半はビジネスアーキテクツ森田さんの講演形式。グループワークが無いWebSigって久々な気がする。
前半:松岡さんのお話はPMの基本に沿ったお話。
「リスクとチャンスのトレードオフ」って話は、PMBOKだと両方『リスク』の範疇なのでは?と、最近読み始めた本の中で、丁度その辺の感覚的な理解が出来てない感じなので気になった。「ヒト,モノ,カネ」の管理とか「品質,コスト,納期」のバランスとか当たり前のことなんだけど、あの場で改めて説明して頂けたのはありがたい。最後の、「マーケティングデータを信用するな」というのは、ある程度ルーチンワーク化しつつ、クリエイティブな領域をどう残すか試行錯誤している現状には、ちょっとハッとさせられるご意見でした。
後半:森田さんの話は例によってというか、とてもbAに特化していた感が。
気になった項目を箇条書きで。
- スケジュール作成はプロジェクトデザイン⇒クリエイティブな作業
- 「案件を作る」能力
- 管理・統括⇒プロジェクトマネジャー(PM)
- 指導・監督⇒プロジェクトリーダー(PL)
- 制作上がりだとPM→PLになりやすいが、いきなりPMの人はPLまでの間に越えられない壁がある。営業企画やIAなどを間に挟むのも一つのステップ
- 全体視点を持つ。隣のプロジェクトも成功させて真のPM
- 複数プロジェクトをまわす
- クリエイティブワークは通常の進捗管理は出来ない
個人的には、「プロジェクトリーダーが指導・監督」よりも、松岡さんがおっしゃってた「PMと専門家が協力」派です。あとは『Web標準の日々』でも話に上がったスキルマップ略してスマップ(200項目!!)に興味津々。
全体的な感想として、質疑応答で議論になった、
- 制作経験の無い人が制作のマネジメントできるのか?
- デザイナーの次のステップがPMなのか?
といったことは、ディレクターにもそのまま言えることだと思う。個人的な経歴としては、最初からプロデューサー/ディレクターを志向していて、且つ制作も一通りかじったのは非常に良かったかなと思っている。ただ、メーカーで企画→開発→生産管理→修理,ユーザーサポートを全部やって、最終的には何か不具合あったら必ず対応に関わるポジションになったことがあったから、Web制作でも色々応用が利いてる所があると思うので、例えば、新卒のディレクターをどう育てるかとかは非常に難しいところかと(丁度職場でそれに近い状態なので試行錯誤中)
この辺は、Web Site Expert #14の「Webディレクター,かくあるべき」(後半がWebで公開されてます)ともリンクしてるかな。
あとは、セミナー内では議論にならなかったけど、QCDとかヒトモノカネとかは出来るだけ早い段階で制作の人にも理解してもらった方が良いと思ってます。 (PhotoShopと一緒に損益計算書の見方を教えるくらいで良いかも)
- 企業の目的はお金儲け
- お金儲けには「収入を増やす」or「支出を減らす」しかない
- Web制作では支出のほとんどが人件費(=自分の作業時間)
を理解して「お仕事」してもらうだけで変わってくる所がたくさんあると思うし、そういった事がわからずにクライアント企業のお金儲けの力になれるはずが無いと思うのです(この辺はデジハリプロデューサーコースのおかげで身についたんだよなぁ)
アメリカでのIAの肩書とか「UX」って言葉だけ流行ることへの危機感とか
『Web標準の日々』のときに浅野さんに聞いた、 「アメリカではIAって肩書きが廃れてきてる」って話が今さらながらに気になって詳しく聞いてみたのですよ。以下、自分メモを兼ねて浅野さんから頂戴したメールを転載。
IAの肩書の件ですが、「User Experience Designer」か「Interaction Designer」に変えた人が多いように思います。もちろん、IAという業務自体はその担当範囲に含まれているわけですが、向こうでIAというともはやすごく狭義にとらえられる(たとえばタクソノミー作ったりすることしかできない、みたいな)ので、職探しのときとか困るんだそうです。 だから、引き続きIAを名乗ってる人も、ただの「Information Architect」じゃなくて「Chief/Lead/Senior Information Architect」などという風に、ただのIAじゃないんだぜ~いろいろできるんだぜ~という含みを持たせる傾向があるようですw
座学レベルで狭義のIAと広義のIAがあることは漠然と感じてるんだけど、『広義のIA=UX』みたいな解釈ではなかったのでちょっと違和感。
話は脱線しますが、WebSigのIA分科会のときにも思ったけど、『ユーザー経験』とか『ユーザー中心』って言葉だけが流行っちゃうと、「まずはクライアントのビジネスゴールを把握」って認識が上手いこと伝わらないんじゃないかという不安があるのです。
そろそろ、「クライアントがどうやってお金儲けをしているのか?」「僕たちはそのお金儲けにどうやって貢献できるのか?」をクリエイターに憧れてる若手に教育する必要があると思うのですが、どうでしょう?
新卒で入ったメーカーで、一番最初に「会社の目的はお金儲け」「そのためにどうするか?(売上を増やす&支出を減らす)」を叩き込まれたのが、30になっても凄く役立っているので尚更そう感じているのかも。