daishiroの日記

インターネットのお仕事とかインターネットのカルチャーとか

セミナーレポート:Web標準の日々

「Web標準の日々」に参加してきました。流石に二日連続は結構ヘヴィー。

まずは参加セッション毎に感想をザックリと。

Z1:デザインパターンによるユーザーインターフェース革命
ソシオメディアさんかつデザインパターンという事で、「ソシオメディアUIデザインパターン」をPCで立ち上げつつ待機。デザインパターンの位置付けとして「オブジェクト同士の静的な構造と制作フローとしての動的な展開を両立した設計言語」とおっしゃっていたのが印象的でした。質疑応答でも聞いてみたんだけど、流行り廃りにあわせてアップデートしていく部分がどうしても出てくると思うんで、メンテナンスが大変そう。。。使う側としては期待大でございます。

X2:名前のウェブとXHTML文書のプロファイル
※資料が公開されています(PDF注意!)
神崎先生、難しいです。。。「XHTMLからRDFとしてメタデータを取り出す『metaprof』っていう共有プロファイルを作ったから使ってね」っていうお話だと思います(細かい表現に自信なし)
メタデータって便利だよ」ってお話はもちろんあったんですが、そこから実装技術へのショートカットっぷりが凄まじくて、セマンティックWebについて少しでも前提知識が無い人は置いてけぼりだったんじゃないかなぁと。

A3:富士通の実践、アクセシビリティ/ユーザビリティ。そしてファインダビリティ
企業価値を高めるWebサイト構築のために」「30分くらいで知るプロジェクトマネジメント」の二本立て。第一部では、「子供向けのユニバーサルデザインということで『富士通キッズ』の紹介が面白かった。FlashページからHTML版へのアンカーに『動かないページ』っていう発想は無かった。実装部分ではWindows Vista/IE7対応に凄い力を入れていて軽く危機感。第二部は、、、うん、PMBOK勉強する。大手や官公庁の案件では「PMP取得者がいる」事が入札条件になりそうとの事。いわゆる「クリエイター」だと思ってる若い子には、どんどんシビアな要求が増えていくんだろうなぁ。。。

D4:Web標準の日に考えるIA
※資料が公開されています
ベースは『【WebSig分科会】明日から実践できるIA』で、冒頭で『IA One Sheeters』の紹介があったのと、後半にPLP(Page-based Layout Pattern)っていう企業サイトの持つ15個の汎用的なページ属性パターンをまとめましたって話がアップデートかな。あとは参考サイト・書籍の紹介が多かった。長谷川さんのIA入門もそうだけど、立ち見が凄いことに。IAって注目されてきたのか?

D5:自社の形に落とし込むディレクションの考え方とアイデアの出し方
※資料が公開されています
是非デザイナーやコーダーなどディレクターじゃない人に聞いて欲しかったセッション。無理やりまとめると「心意気とその実践例」っていう事かと。ただ、このセッションに関しては、名村さんの『熱さ』を体感しないと意味が無い。実は先月社内のチーム向けに似たような講座をやったんだけど、思いやりとかおもてなしとかの気持ちの部分が伝え切れなかったんだよなぁ。
個人的に名村さんについては、2~3年前からお名前を良く聞いていて、ご挨拶する機会を伺っていたりしたので、ここぞとばかりに名刺交換。HN(ファーストネームだが)で認識されててビックリした。これを機会に今後もよろしくお願いいたします(私信)(ちなみに、WebSigのグループワークでご一緒したけど挨拶しそびれたのは内緒だ!)

D6:Web制作におけるアートディレクションとテクニカルディレクション
あくまでアンカーテクノロジーさんのプロジェクトメンバー構成でのお話になっていた感が。アートディレクター(AD)とテクニカルディレクター(TD)の他にディレクター(D)がいて、且つTDとDが兼任ってどうなってるのかと。『スキルとしてのIA』じゃないけど、職種レベルではなく、『AD,TDとして必要なスキル/必要な観点』と捉えられないと「そんなのうちの会社じゃできねーよ」になってしまいそう。とはいえ、同僚のデザイナーさん達には、今後の方向性を考える上で良い刺激になったみたいで良かった。

D7:ビジネス・アーキテクツのコミュニケーションデザイン
森田さんスゲェ。
コミュニケーションデザインというより、プロジェクトデザインの話がメインだった気が。『西村あさひ法律事務所』の事例をこっちが心配になるレベルで詳細に紹介(質問に対する回答で冷や汗かいたのは初めて)とはいえ、名村さんのセッションと同じで、見るべきところは「心意気」だと思う(あんなのマネ出来ねぇ)
ちなみに美大で情報デザインを専攻していた同僚のデザイナーさんが、「情報デザインとして大学で勉強してきたことが『コミュニケーションデザイン』といわれているから」と参加して苦い顔をしていたのが面白かった。

D8:情報アーキテクチャ入門
※資料が公開されています(PDF注意!)
途中から入門じゃなくなってた。。。坂本さんのセッションもそうだけど、前提知識を必要とする内容だった。俺含め、IAに興味があって勉強してるディレクターには凄く良いけど、このセッションからIAについての勉強を始めようと思った経験の少ないデザイナーさんとかにはきつかったんじゃないかな。『スキルとしてのIA』を職種にとらわれずに身につけようと思ったら、導入はもう1段階優しくても良いのかなと思った。それを受けてではないんだけど、会社のチーム内でIAに関する基礎的な講座をやります。概念的な「考えなきゃいけない事」と「ワイヤーフレーム」「ラベリング」等の用語解説くらいを予定。・・・あと1週間で大丈夫なのか?俺。

全体通して気になった点は、3つ。

  • デザイン、レイアウトのパターン化という発想を複数のセッションでそれぞれ異なる視点からしていて興味深かった
  • ワイヤーフレームでデザインを決定しない」 「場合によってはデザイナーがワイヤーフレームを書いた方が良い」といった話も複数のセッションで耳にした。最近(個人的に?)良く耳にする『職種ではなくスキルとしてのIA』という事だと思うんだけど、ビジュアルデザインをメインにしている人の感想も聞きたい。
  • 「Webディレクターの仕事の範囲と内容は?」というお話も多かった。ザックリと「コミュニケーション」「情報設計」「プロジェクト管理」 といった項目について、それぞれ掘り下げてたかなと。プロジェクト管理については、PMBOKについて勉強の必要性を感じてますよ。

総じて、個人的に最近意識していた、 「ビジュアルデザインの前にするデザイン」「ディスプレイの向こう側のデザイン」といった部分の指標としてだけでなく、普段の業務でやっている事を「プロジェクトのデザイン」という観点で見直し、ブラッシュアップする意味で非常に有意義でした。